- このトピックは空です。
-
トピック
-
飲食店を探す際、口コミサイトやグルメサイトを確認することは一般化した。ただ、正しい情報が記されているかは不透明な可能性がある。
焼き肉チェーン「KollaBo」を運営する株式会社韓流村は2022年4月4日、株式会社カカクコムが運営するグルメサイト「食べログ」が2019年5月21日以降、チェーン店を対象に恣意的に点数を下げるアルゴリズム“チェーン店ディスカウント”を設定・運用していたとして、「食べログ被害者の会」を立ち上げ、集団での法的措置を取ることを呼びかけている。
不当に点数が下げられていたのでは飲食店経営者からすればたまらない。株式会社韓流村の代表を務める任和彬(イム・ファビン)氏に、今回「食べログ被害者の会」を立ち上げた経緯などを聞いた。
チェーン店ディスカウントの実態そもそも、チェーン店ディスカウントとはどういったものなのか。任氏に聞くと、「食べログユーザーがつけた口コミ点数とは関係なく、最大0.5点も下がる不当な点数制度です」と回答。
「例えば、一般的な飲食店プラットフォームは、Aさんが5点、Bさんが3点、Cさんが1点をつけた店舗の点数は単純平均の3点になります。一方、食べログの場合は、経験豊富なレビュアーという名目で恣意的にCさんの点数だけを採用して1点をつける場合もあります。
そして、もしその店舗がチェーン店ディスカウントの対象店舗であれば、さらに0.1~0.5点がディスカウントされ、0.5~0.9点になります。これは極端な例ですが、食べログではどのように点数をつけているのかは、ブラックボックス化しており、とても公平公正とは言い難いです」
減点されて以降、食べログ経由の予約は7割減少次に任氏に「食べログ被害者の会」発足の経緯を尋ねると、深刻な被害が今なお続いている現状を語ってくれた。
「2019年5月以前は弊社の店舗では、食べログの点数が3.5点前後は10件ほどありましたが、チェーン店ディスカウントを受けてからは3.0点近くに減点。
その結果、食べログ経由の予約は7割減少。また、食べログの利用者は月間1億人を超えるため、減点によるブランド価値の低下もあり、全体の売り上げが約3割減少。額にして月2500万円です。つまり、2019年以降は毎月2500万円の損失を出し続けていることになります」
同業者は「にらまれたくない」と及び腰
韓流村は2020年5月、「恣意的に点数を歪めることは飲食店間の公正な競争を乱している」「レビューサイトという優位な立場を利用して不当に特定の飲食店に不利益を与えている」などの理由から独占禁止法上の問題にあたるとして、カカクコムに対して訴訟を起こした。
裁判に踏み切った経緯として、任(イム)氏はこう語った。
「2020年3月に公正取引委員会が飲食店プラットフォームに関する調査報告書を出し、そこには『特定の飲食店プラットフォーマーが特定のレストランに差別的・恣意的に点数を操作することは、独占禁止法にあたる可能性がある』といったことが書かれていました。
これを受け、弊社以外にもチェーン店ディスカウントを受けた飲食店経営者に『集団訴訟を起こそう』と声をかけたのですが、食べログ側からにらまれることを警戒して、結果的に弊社が単独で裁判に臨むことになりました」
論点のすり替えばかりが続く食べログただ、裁判は上手く進んでいない。カカクコムは裁判所からの和解案に応じることなく、「一貫として不誠実な態度でした」と怒りを露わにする。
「投資家向けに経営状況や財務状況といった業績に関わる情報をまとめた『IR資料』内では、『食べログは月間ユーザー1億人超え』『日本最大級の飲食店プラットフォームです!』とうたっています。にもかかわらず、チェーン店ディスカウントについて追求すると、『食べログはGoogleやYahoo!ほど大きくないから影響力はありません』と論点のすり替えばかり。
適切な回答をしないだけでなく、普段行っているPRとは真逆の主張を繰り返すことに、とても腹が立ちました」
原告が集めた証拠が効力を失う?さらには、「追加資料を出して裁判の進捗を妨げる行為も少なくありませんでした」と続ける。
「今回の裁判の時効は、チェーン店ディスカウントが実施されたと思われる2019年5月21日から3年と考えられています。つまり、2022年5月20日がタイムリミットであり、21日以降は今回集めた証拠は効力を失います。カカクコムはそれをわかったうえで遅延行為を繰り返している可能性が高い。実際、度重なる遅延行為を受け、判決は6月16日に後ろ倒しになり、判決後に訴訟を提起しても時効を理由に訴えを棄却されるでしょう」
“裁判の遅延行為”というドラマのような展開が現実世界で起きており、韓流村としては“詰み”に近い状況に思えるが、「5月20日までに株式会社カカクコムへの損害賠償請求を求める内容証明を送付すれば、時効完成の期間を最大6か月まで延長できます。賛同していただける飲食店経営者の方々は、1度弊社にご連絡いただければ嬉しいです」とのことだ。
「無料会員=低評価」ではない
次にチェーン店ディスカウントが実際に行われていると仮定して、なぜカカクコムはこのような不当なおこないをするのだろうか。「点数の高い店舗は必然的にユーザーの目に留まりますので、点数の高いチェーン店の点数を下げれば、ユーザーはその店舗に行くことはありません。ただ、有料会員になれば、点数に関係なく上位に表示されるためユーザーの目に留まります。
つまり、『有料会員にならない飲食店の点数を下げている』ではなく、 『点数を下げれば客足が遠のく。ただ、有料会員になれば食べログ内で上位に表示されるため、飲食店側は有料会員にならざるを得ない。そのため、食べログは恣意的に点数を下げている』と分析しております」
個人店よりもチェーン店を狙い撃ちしたほうが、より多くの契約獲得が期待できる。チェーン店ディスカウントが存在するのであれば、あまりに恐ろしいアイデアといえよう。
ユーザーにとっても不利益な状態そして、任氏は「チェーン店ディスカウントは、飲食店だけでなく、ユーザーの方々にも不誠実です」と言い放つ。
「食べログ側に恣意的に操作された点数を信じて、そこまで美味しくないお店に行ったり、本当は美味しいお店なのに点数が低いことを理由に違うお店に行ったりなど、不利益を被っているユーザーは少なくありません。『ホットペッパー』や『ぐるなび』といった飲食店プラットフォームの平均点は似たり寄ったりですが、それらの点数と食べログの点数は大きく異なります」
続けて、「それだけ客観性が乏しい点数がつけられており、チェーン店ディスカウントによって飲食店もお客様もみんな不幸になっているのです」と話した。
誕生日や結婚記念日など、特別な日に飲食店を利用する人は多く、恐らく3.5点以上のお店を選ぶだろう。しかし、その評価は不適切な可能性もあり、特別な日を台無しにするリスクさえ存在する。
カカクコム側の言い分は…?とはいえ、カカクコム側としても言い分はあるだろう。
任氏の話を踏まえたうえで、カカクコムに「チェーン店ディスカウントをしていたのか」「今後、食べログをどのように運営していきたいか」など、編集部からさまざまな質問を提出したところ、「お問い合わせの件につきましては、係属中の訴訟に関する内容となりますため回答は控えさせていただきます」という返信のみだった。
なんにせよ、6月にその審判が下されるが、任氏の話によれば「それでは時すでに遅し」の可能性が高い。チェーン店ディスカウントが本当かどうか、今後の動向に注目したい。
⇩⇩書込みはコチラ⇩⇩